からから回る

農小屋の風読む仕掛け青嵐

矢田の里山歩き。

このあたりは、神話で天磐船に乗ってきた饒速日命(にぎはやひのみこと)が射った矢が落ちたところに降臨したと伝わる里で、見た目は典型的な谷戸の里山風景が広がる。
その谷戸に開けた市民農園にはペットボトルを加工した風車がからからとまわり、小屋の屋根には風力計がのるなど、矢田ならではの様相を見せている。
以前に、楼門にプロペラが奉納された飛行機の神さまのことを紹介した。
おとぎ話のような神話伝説だが、古代の混沌とした時代のことなど夢想しながら散歩するのも悪くない。

雨の待合室

内科医の手持ちぶさたも走り梅雨

そろそろ梅雨入り宣言ありそうな天気だ。

毎月の薬をもらいにかかりつけ医のもとに行く。
待合室はがらんとしてすぐに順番が来る。
いつものように血圧計り、70-122と正常値。聴診器ぽんぽんとあてて「はい、異状なし」。ものの二、三分であっけなく終了。
あまりに簡単に終わったが、どっこい。覚えのない血液検査料を請求されて聞き返す。
おまけに、処方箋にいつもあるべき薬のリストがない。薬局の人を走らせて、あれこれと。
先生、事務方ともちょっとリズムが狂ったようである。

プラン変更

いびつさもベランダ苺の勲章よ

飛鳥ルビーという地元大型品種の苗を植えてみた。

ようやく、実をつけるようになったが、いずれもナメクジの被害がひどい。
たまに、無傷なのを見つかると少々早くても摘んでしまうことにした。
さすがに少し酸味があるが、ブランド苺だけあって結構甘い。

去年の暮れにたっぷり、ボカシと呼ばれる糠を主原料とした肥料を仕込んだら、苗が信じられないくらい成長してしまった。苺は窒素肥料はあまり要らないと知る。
とりあえず、この春の収穫はあきらめランナーから苗を育てる計画。ナメクジの来ない冬の収穫を目指すのだ。

讃岐の造伝説

皮脱いで竹林いまだ伸び盛り

地中からすっと伸びた青竹。

伸び代の大きな先より皮を脱ぎながら上へ伸びてゆく。
だから、伸び代の期待できない下の節には脱げそうでなかなか脱げない皮が残っていることが多い。
半分ほどめくれ上がっているが、いったい何時になったら落ちるのだろうか。

かぐや姫の里と伝わる神社の近くに大きくはないが、きちんと手入れされた竹林を見つけた。
鶯の声が竹林に耳にも快く響く。

旬の甘味

莢豌豆みるみる積もる筋の山

句友の丹精した豆をいただく。

スナップ豌豆という名らしい。
サラダにもあうし、なにより甘くて美味しい。こんなにうまいものだったのか。今まで、莢豌豆もスナップ豌豆の違いも分からなかったが、豆が大きい分だけ旨味がよく出てるようだ。

思案も楽し

緑陰にパンフ拡げて旅のこと

木陰のテーブルから笑い声がもれる。

何やら資料らしきものをテーブルに並べて、楽しそうだ。
夏休みの計画でも立てているのかも知れないなと思った。

すべて世は事も無し

麦秋やふいに畑に鳥落ちる

小津の映画の光景はもうない。

かろうじてある一画だけが残されているが、残念ながら三輪山の裾は人家がたてこんで、三輪山を借景としたふるき大和の風景はもう望めないのである。
句友といっしょに眺めていると、たまたま目の先に降りてくる鳥影がある。雲雀だ。絵に描いた通りにである。
直接巣のそばには降りないと聞いているが、まずはあのあたりに巣があるのだろう。
一羽は相変わらず頭上で名告りをあげている。