生きるものたち

けふ遇ひしものを日記に春を待つ

三月の気温だそうである。

ちょっと歩くだけで軽く汗ばんでくる。
風もほとんどなく、急に春がやってきたようなうれしいプレゼントである。
今日出会ったのは、エナガ、メジロ、シジュウカラ、ヒガラ、笹子、ベニマシコ、青バト、コゲラ、マガモ、コガモ、オカヨシガモ、オオバン、カルガモ、ヒヨドリとカラス数多、地域猫の黒と鯖トラミックスの二匹。
他にも声は聞こえるけれど名が不明の鳥もいくつか。
生きとし生けるものの声を聴き、姿を眺める。無心になれる時間である。

時宜ということ

標張つて名の札打つて寒肥す

ロープで仕切られた区画が一面白い。

近づいてみると、どうやら肥料が蒔かれたらしい。
広い敷地に幾何学模様の畝が作られているのはチューリップ花壇である。
見ると、公園のあちこちに養生中の区画があり、おそらくどれも花壇のようである。
どうもわが家では、今年こそとは思いながら、結局寒さにかまけて寒肥の時期を逸することが多い。何本とないわけだから庭木くらいはちゃんと時宜を得たご飯をやらなきゃね。

重宝するもの

荒唇に寒九の水の適ひけり

末期の水ではない。

5日が寒の入りだから、昨日が寒九に当たるはずである。これからが寒さの本番である。
乾燥性ゆえちょっと外にいただけで唇が荒れてきて、昨日はひび割れのように、とうとう口を開けるのさえぴりぴりと痛む。今は薬用リップクリームというのがコンビニでも売られており、乾燥防止や荒れにもずいぶん重宝する。昨夜塗っておいたら今朝は大丈夫のようである。と言って、油断したらたちまち荒れてしまうので用心、用心。

発見

枯草の踏まれ野鳥の観望所

探鳥のシーズン。

入門には最適の季節とあって、日本野鳥の会が特別な探鳥会を各地で催している。
イベントの様子をしばし見せてもらったが、ベテランが案内するので全くの素人でも思いもよらない鳥を観察することができる。同じように見える鴨でも、実はいろいろな種類が混じっていて、その違いを楽しめることも発見できた。
幸いにして、よく散歩に出かける古墳公園は鳥たちの楽園。冬の間まだまだ楽しむことができそうだ。

北陸の雪

まなかひの葛城ひさに冬晴るる

今年一番の冷え込み。

庭のものが凍る寒さ。鉢の土が上から2センチくらいは凍ったろうか。
ここのところ、葛城は毎日雲に包まれていたが、今朝は久しぶりに姿を見せてくれた。
山はすっぽりと雪をかぶって、今年はこのまましばらく姿を変えないことだろう。
明日三波目の寒波がくるという。最低気温の記録も更新されるに違いない。
北陸は大変なようである。電車に閉じこめられるわけではなく、暖房の部屋で過ごせるのだから誰に文句もつけるわけじゃないが。

水溜まりの光り

庭潦参道走る風巻かな

真砂の参道に水溜まりがいくつもできている。

激しい風雨に見舞われた吟行地橿原神宮で、水溜まりに細波が走っていたが、やがて雨がすうっと引き青空が見えてくると、その水面が一瞬にしてまぶしいほどの光りをみせはじめた。まさに淑気あふれる光りで、建国の祖神を褒めたたえるかのようである。

野菜高騰

信貴の雪載せて降りくる旦かな

引き続き天気が不安定である。

大きな音がするのでトラック通過かなと思ったら、どうやら雷のようだ。
冷たい寒気が上空に侵入してきたのかもしれない。
下は雨ないし霙なのに、道路を見ていると、信貴山の方から降りてきた車の屋根には雪が積もっている。はるか眺めやれば100メートルほどより上は白い。
外の気温は4度。予報ではさらに寒気が降りてくると言うから、いずれ下も雪景色に変わるかもしれない。それはそれでいいだろうが、程度というものがある。ただでさえ坂の町で出歩くのが億劫であるのに、足下をとられるようであれば買い物にも不便しそうである。
プランターの大根一本を引き抜いて、野菜高騰へのささやかな抵抗をしてみせたものの。