人は避けて通る

公園の目抜き通りのえごの花
えごの花邪険にくぐる男かな
えごの花触れては傘の通り行く
象舎立つアジアゾーンのえごの花
引き寄せて妻の鼻先えごの花

枝ぶりがよく、四方によく広がる。

アカシアのように高く咲くのではなく、低く垂れるようにぶらさがるので下手すれば顔の部分に来ることが多い。だから、通りといっても、比較的広いスペースを要するところがある。木の下は歩けないからだ。
この木をシンボルツリーにしている公園は、その一画をえごの木通りと呼んでいる。
秋になり実がなると鳥がせっせとすみかまで運ぶ姿は愛らしい。

血を吐くような

臥せてゐて昼夜逆転ほととぎす

油断して風邪を引きました。

昼間はウグイス、夜中はホトトギスがよく鳴いてます。
ときどき狂ったように鳴きますので、血を吐くというのはまんざら誇張ではないような気がします。

ひさしぶりにベッドから投稿しました。

ごっつんこ

蟻の道たどり叢茂にまかれけり

またぞろ引っ越しかもしれない。

玄関を横切って蟻が列をなしている。
毎年この時期になると、玄関アプローチを挟んで蟻がいそがしく往来するのが恒例となったようだ。何しろ「ありさんごっつんこ」というくらいだから、両方にせわしく往き来するので、どちらが起点なのか目標点なのかは判然としない。
辿ろうとしてもいっぽうは草むらのなかに行方をくらまして、そこから先は追えないのだった。
家の下に潜り込んで悪さをしそうではないのでそっとしておくことにした。

雨雲レーダー

雨蛙防災アプリの雨意急と

スマホの防災アプリがなかなか便利である。

現在地付近に雨雲が近づくとアラームを発してくれて、画面をのぞくと六時間先の予想まで教えてくれる。
最近は30ミリ程度の雨はざらななので、少々の量では驚かないが、洗濯物がまだ干してあったり、外出予定のある家人にも教えてやることができる。
今日も先ほどアラームが鳴ったが、たしかに空が少し暗くなってきたような気がする。このままならいくらかパラパラ程度は降るかもしれない。

明るい林

竹落葉法にすがりて切り通し

風もないのにはらはら降ってくる。

古い葉を落としつつある竹林の明るいこと。すでに、若い葉が生まれているので光が透過するのであろうか。
切り通しを抜けて古都に入ろうとしたら、底だけではなく法面にも竹落葉がとどまっている。心なしか、この時期切り通しがいつもより明るいような気がした。

手植えか機械植えか

田植機の届かぬ隅の余り苗

とりあえず機械が入る部分は植え終わった。

隅はまだ植え残っているが、そこにひとかたまりの苗が置いてある。
おそらく明日か近いうちに手植えでもする予定なのだろう。そうなると、「余り苗」とも「捨苗」とも言えないかもしれないが、少なくとも今は余り苗である。
手植えされた田と機械植えの田の見分け方を聞いた。
真っ直ぐに等間隔に植えられているのは手植え、機械植えはどうしても真っ直ぐにはいかずグネグネ曲がっているのだという。そう言えば、糸を使って定規代わりにしていた光景を見たことがある。今はどうしているのか知らないが、何らかの定規や印をつけて植えるのだろう。

かろうじて

屋上にタオル干すなり麦の秋
三輪山の隠しやうなく麦の秋
松ッ阪へ行ってましてん麦の秋

素麺の町。

それなのに、かつて一帯がほとんど麦畑だったという面影はどこにもない。かろうじて大鳥居を望めるところに何枚かの畑があるだけだ。やはりここでも輸入小麦粉に頼るんだろうか。あまつさえ、製品を瀬戸内などにOEMしていたくらいだから、いったん地に墜ちたブランドを取り戻すのはさぞ大変だろう。

スカッと晴れた空に洗濯物を並べるのは気持ちいい。眼下には麦畑が広がっている。それを地上から眺めれば、女帝・持統さんになったような気持ちに。