春愁や免許返上迫られる
春愁やフリーダイヤルやたら鳴り
春愁や猫のあれこれ見せに来る
春愁や飲んでも顔に出ぬ家系
浦寂びて旅に春愁深うする
春愁や子に奢らるる世となつて
書き出しの筆の決まらず春愁
左利きと飯食ってゐて春愁
春愁やソースと醤油を取り違へ
春愁の腰を伸ばしてさあ帰ろ
春愁のあつてなんぼの人生よ
春愁や人差指で人を指す
春愁や檻のチーター岩隠れ
70歳を過ぎると免許更新の際、高齢者講習というものがあるらしい。
さらに、75歳に達すると講習の前に「講習予備検査」という名の実態「認知機能検査」が課せられる。
認知症患者の数は、65歳以上では推定7人に1人が、これが予備軍ともいえる軽度認知障害を含めると4人に1人という勘定になるそうである。認知症を患う確率は想像以上に高いと言え、自分がそうならないとは誰も断言できまい。
認知症というのは、努力次第で進行を食い止めたり、遅くすることが可能とも言われている。したがって、重い症状に長く苦しまないためにも、周囲の負担を少しでも軽くするためにも、成人病予防が中心になっている定期的な健診に認知機能検査を加えることはいいはずだ。
75歳時の検査を待つまでもなく、今すぐにでも毎年のチェックを受けた方がよさそうである。
句友に一人暮らしの大先輩がおられる。日常の買い物など車が必須なので、90歳近くになるまで自分で運転されていたが、さすがに心配されたご子息から諫められて、車を手放すこととなった。頭脳に問題なくても、加齢による運動能力、反射神経などの衰えは抗しがたい。
車のない生活になって行動範囲が狭くなったせいか、心なしか足腰が心許なくなっているように感じる。