声に出して読もう

おそまきに耽る古典や明易し

2年かけて源氏物語全巻読破するプロジェクトだという。

7月から始まる俳句仲間sassa君の「源氏物語 道しるべ」の開講準備もいよいよラストステージ。
これにしたがえば、いつのまにかあの長編の最後までを原文で味わっているという、まことにありがたい講義なのだ。昔、古文は苦手だったが、還暦をとっくにすぎての古典挑戦も悪くない。なにしろ時間があるのだから。
まずは最初3ヵ月はウォーミングアップ期間で肩慣らし。やがて源氏物語とも切り離せない万葉集、百人一首なども逍遥しながら進めていくと、より立体的な源氏物語の理解がすすむという段取りになってるらしい。

教科書としてまずはお奨めの「古典セレクション 源氏物語」(小学館)の桐壺~花散里に相当する1~3巻を手に入れた。

いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に。。。。

で始まる冒頭部分を声に出して読んでみると、加賀美アナウンサーの名調子が思い出されて名文とは耳にも心地よいものだということがよく分かる。
ただ、注釈を引きながら読むのでどうしてもスピードが伴わないし、本を読み出すとつい夜更かしになってしまう傾向が強いので、うっかりすると夜が明けてしまうということになりかねないので要注意だ。

食物連鎖

あめんぼの身を寄せるごと岸辺かな

水面をかすめるようにたくさんの燕が飛んでいる。

なかには、飛翔の切れが悪い子がいるので今年孵った幼鳥だろうが、みんな何回も水面に首を突っ込んではタッチアンドゴーの繰り返しである。

おそらく水面に浮遊する虫でも捕食しているのだろうが、そういえば先頃まで大量に浮いていたあめんぼうの数が心なしか減っているように見える。
生き残った連中が岸辺に吹き寄せられるかのように集まっており、まるで燕の攻撃を避けるかのようだ。

早苗田

束の間の平穏なりし夏の蝶

田植えが終わった田に静寂が戻った。

蝶がきたかと思うと、シオカラトンボものんびり飛んでくる。
暑い暑い夏に向けてやることといえば雑草取りくらいで、暫くはこの里で人の姿を見ることは少ないだろう。

(写真)田の奥にある白いビニールハウスで苺「飛鳥ルビー改古都香(ことか)」が生産される。前に書いたが、これは大きくて抜群に甘い。奥中央が斑鳩神社。そのすぐ右横がカイツブリの池だ。

尚武に通ず

鳥の名を冠するもあり花菖蒲

江戸時代に品種改良がさかんだった花菖蒲。

菖蒲は尚武につながるということで特に武士階級に人気であったようである。
そのおかげで今では各地の菖蒲園でさまざまな品種のものを見ることができる。
写真の手前左が「郭公鳥」、真ん中が「磯千鳥」と言うのだそうである。

当地の菖蒲園といえば柳生花しょうぶ園らしいのだが、ここでは約80万本460品種が見られるという。残念ながら今年はチャンスがなかったので来年こそはと思っている。

悠然と舞う

青鷺のけだるく田の辺に降りにけり

大和盆地のカイツブリはすでに書いたが、青鷺もまたよく見ることが多い。

へたすると大鷺よりも数は多いのかもしれない。
あの洒落た藍灰色をした翼を広げた舞い姿というのは実に粋でダンディでいつ見てもほれぼれする。

マイファームの数段上の田がお気に入りらしく、必ず数羽(多分ファミリー)できては優雅に舞い降りるのだが、たまには降りずにそのまま悠然と滑空している時もある。そんなときはいかにもけだるげに見えるのだが、もしかすると若鳥の調教中かもしれない。

放浪者

先住に気兼ねすまじくほとゝぎす

鶯の声がにぎやかに聞こえるマイファーム。

きょうは珍しく時鳥が鳴いている。
ただ、先住者の鶯たちに遠慮してかやや声が細い。20分ほど鳴いてそれきり聞こえなくなった。今年の居場所を探しているのだろうか。
夏に日本にやってくると言うが彼らの冬の居場所はどこなんだろうね。

大玉西瓜が受粉に成功して実をつけ始めた。
直径1センチにも満たない赤子だが、しっかりとあの縦縞、ストライプ模様が誇らしげ。

自分を重ねる

息子たち巣立ちひとりの田植かな

大雨が去った今日は徐々に天気も回復してきた。

周りの田は大方田植えも済んでいるというのに、誰も手伝う人がいないのだろうか、老人ひとりが泥田のなかで重い田植機と格闘していた。
息子や娘たちが都会に出て、田を守るのは今はもう老夫婦だけの毎日なんだろう。

この姿は自分にも重なって見え、今も妙に残像がちらつく。