まかない

秋茄子をカレー仕立ての夜食かな

看病疲れだろうか、家人がダウンした。

昼はうどんを作り、夜はカレーを煮た。料理のレパートリーとてこれくらいで、それも滅多にしつけないものだからカレーの味付けときたら大失敗。野菜にニンニクを効かせすぎたのが失敗の原因だろう。

いつかに備えて料理も多少は覚えたいのだが、調理に時間をかけるというのがどうも性に合わないのだ。

古典

物語始むる秋の読書かな

「源氏物語 道しるべ」、スタート間近になってきた。

冒頭の何巻かを揃えて静かにその時を待っているが、いざ始まると怒濤のペースで資料他読みあさらないとついていけないのだろうなあ、と今から戦々恐々としている。

清々爺先生、お手柔らかに。

静寂な夜

この窓に ありていつもの 虫の声

書斎の窓際にデスクを並べているので窓を開けていると虫の声がよく聞こえる。

夏はクーラーなどを使うときがあるので、窓を開けている時間は秋の方がはるかに長い。在宅治療の親がいるので外出もままならず机にしがみついていることも多いのでよけいにそう思う。病状はといえばターミナルケアのまだまだ序の口に過ぎず、やがて昼夜となく睡眠不足の日がくるのだろう。

開けはなった窓から聞こえてくる虫の声は何事にもまさる慰めのような気がする。

秋本番

坂はるか銀杏並木の色づきぬ

秋が駆け足でやって来ている。

自宅とは大和川を挟んで対面にある丘には大きな住宅地があって、西名阪道香芝ICに出る際のショートカットにもなっているのだが、昨日久しぶりに通ったら街路樹の銀杏がもう黄葉半ばという風情で、とびとびにある雌木には葉の間から小さな実がいっぱい顔を出していた。
暑い暑いとこぼしていたが、昼と夜の気温差が大きい土地では早くも秋たけなわの様相を帯びてきているようで、これからどんどん秋が深まっていくのだろう。

何をするにもいい季節を迎えた。

濃紺の献花

竜胆を添へて墓苑に香立てり

病人がいるので長い時間家を空けられない。

ただお彼岸なので墓参りだけはしなくちゃと思って、父親の墓への往復はとても無理だが春先亡くなった猫ちゃんのお寺なら2時間ほどで往復できそうなので出かけることにした。
今週から往診の先生が隔日に点滴をしてくれることになり、今日の点滴が始まるのを待ってあとは家人に任せ一人で出たのだが、途中花屋さんで目についた濃紺の花束がいくらか気分を明るくしてくれたような気持ちがした。

後の彼岸

病む母は墓参かなわず秋彼岸

この1週間、日中ずっとベッドに寝ていることが多くなった。

今週にはいって病状がさらに悪化し、栄養分の摂取は少量の流動食とそれを補う点滴に頼る状況で、ますますベッドに臥す時間が伸びることになりそうだ。家人には当分必要最小限の外出しか許されないことになる。

秋の七草

黄のカーテン透かして揺れる女郎花

秋の七草のシーズン。

ある植物園でコーナーに植え込んだ女郎花が満開だった。通路の角を曲がってこれを発見したグループが思わず歓声をあげる。通路にもたれかかるように展がった女郎花はさながら黄色のカーテンのようであった。