変わらぬ味

手みやげに隠元持たさる馴染みかな

今月都合3回上京したことになるが、その折には毎回顔を出す焼き肉店がある。

実名を出しても差し支えなかろう。「成瀬亭」という。町田市通称成瀬街道筋にあって関西出身のオヤジさんのキップがいいので、何かにことづけて家族で出かけていた店だ。
事前に時間が予想されるのなら友人に声をかけて夕食をつきあわせるのだが、今回は作業中心なのでいつ終わるのかはやってみなければ分からないという、まことに難儀な仕事だった。
そんなこんなで直前の電話一本でも店を開けて待っててくれる有り難さ。
ここの肉は昔から厳選された仕入先との長いつきあいで、うまいうえに安心なのだ。きさくで気のおけない店主とあって若い常連さんも多い。ここんところ行くたびに土産の野菜を持たせてくれるのだが、量がおおすぎて少々もてあまし気味。娘夫婦も食べきれないというので、半分ほどを奈良まで持ち帰ったというわけ。

豊かな平野

峠越ゆ金なす穂波の平野かな

伊勢平野に出ると田がすでに色づいていました。

大和盆地はまだ青田だというのに驚きです。田植えが他国より一月以上遅いので当たり前といえば当たり前ですが。30年以上も昔、宮城から県境を越えて秋田に入った時のことを思い出しました。穂の金色とリンゴの紅色の対比は未だに忘れられない光景です。

渋滞

国道は渋滞にして萩こぼる

今日も神奈川にいます。

出掛けにいきなりの渋滞、2時間ほどロスしました。
道路わきを見ると萩が大和盆地を見下ろしていました。

食の力

秋暑し猫の食欲重げなり

老い猫と若い猫2匹がいるが、さすがに夏が長いせいか夏負けしているようである。

だが、どういうわけか若い方が食欲がなくなってきている。子供の頃から室内で飼われてきたのが原因かと思わざるをえない。いっぽうの13歳になる老猫は半分野良でもあったせいか食欲は旺盛である。生き残る力というのはまずは食からということであろうか。

そういえば、老母はこの2,3日すこぶる食欲は旺盛で三食とも完食している。

季節を探す

上棟や槌音響く秋の空

目にはさやかに見えねども、探せば秋はある。

古来から季節というのは自分の五感を駆使して感じるものらしい。

昨日、今日と朝早くから乾いた槌音が響いている。どこからの音かと周りを見渡したら、数区画はなれた土地でどうやら今日は上棟らしい。一気に屋根の部分まで組み上がってしまった。
ひと頃の暑さに比べれば幾分和らいで、今日の風などは秋のものである。棟梁たちにとってもようやく作業しやすい季節になってほっとしていることだろう。

変調か

蜩の声聞かぬまま夕暮れぬ

虫の声に負けたのだろうか、当地では蜩の声を聞かぬ。

法師蝉も同様。裏山が生駒山系だし、今頃は元気に鳴いてもおかしくないと思うのだが。
だんだん日の落ちる時間も早くなって、ゆうなずむ頃合いに似合う蜩だけど変調か、それとも日中暑すぎて時期が遅れているのだろうか。

処暑の夕立

夜だけは処暑至れりの心地して

今日は二十四節気の処暑だという。

例年8月の23,4日頃だとすれば夏休みも終盤、我らが学生時代の頃もこんなに暑かったのだろうか。

奈良公園ならいざしらず、奈良盆地というのは意外に街路樹が少ないので昼間歩くというのは苦行以外の何物でもない。移動の手段としてクルマが主流なので歩く人のことなどは重視されてないのだろう。
その点、都会ではコンクリートのヒートアイランドとはいえ街路樹や樹木がよく茂った公園、河畔の柳や桜などが多くあるので散歩のコース取りも楽しいものがある。最近はちと運動不足気味だ。

今日も夕立がきた。
関東では滅多に夕立というのがないが、やはり当地は毎日のようにあって天気の変化が楽しめる。