がらり戸にリースの町家はや師走
洒落た町家があった。
見た目は町家だが、なかは建築事務所とある。
おそらく町の景観に溶け込むような意匠にした建築事務所兼自宅なのであろう。
通りに面した部分が車庫、その奥が前庭風、これを和風の格子戸風扉でカバーしている。日常の出入り口となっているのが脇のがらり戸らしい。
がらり戸とその奥はきれいに掃かれていて、住む人の感性を思わせる佇まいだ。
建物も町家風だが、がらり戸の格子にはクリスマス用とも思われるバラのリースが早くもかけられて、まだ師走の街騒が感じられない奈良町にあってここだけは歳晩風景を醸し出している。
廃家となって取り壊される町家も見られるが、旧の風情を残した新しい袋に新しい酒が醸されているのも奈良町の今日である。