耳に胼胝

一升の麦茶飲む日のつづきけり

秋の季題を探すのにも疲れた。

昼間の行動は危険とばかり、もっぱら冷房の部屋に籠もっている。
かかりつけの医者には冬でも水をちゃんと摂れと耳に胼胝のできるくらい聞かされてるが、この夏は言われなくても朝から冷たい麦茶のお世話になっている。
一升どころか、だいたいは2リットルのペットボトル一本分は軽く空けている。
汗となって体を冷やしてくれると思えばもっと飲んでもいいはずであるが。

トーナメント

タイブレーク走者活かせず夏終る

無死走者一塁二塁。

願ってもないチャンスだが、これが延長戦となると状況は違ってくる。先攻であればしっかりものにしないと、その裏に敵チームにも同じチャンスが与えられまずは点を取られるものと覚悟してかからなければならない。チャンスだがそういうプレッシャーとも戦わなければならない。
もともと延長戦は後攻チームの方が遊離だという見方がある。きちんと相手チームの得点を防ぐことができれば。それこそビッグチャンスである。
高校野球で延長戦タイブレーク方式が取り入れられたのは、酷暑のもとで延々と試合を続けると危険が高まってきたからというのが大きい要員だろう。
この大会もタイブレーク方式の延長戦がいくつも見られるだろう。負ければ明日はなく、三年生の夏は終わるのである。

予定

夏深し町にいる子に予定聞く

明日は立秋。

暦の上では今日で夏は終わりだが、実際の肌感覚としてはまさに夏真っ盛り。夏たけなわと言っていいだろう。
夏休みに帰省するのかどうか、連絡はまだないがそろそろ予定を聞いておかないと。
気がかりは台風7号がちょうど盆休みに影響しそうなこと。民族大移動の時期に混乱を与えなければいいが。

希求し続ける

録音の鐘が鳴るなり原爆忌

町内放送が町民に黙祷を呼びかけた。

毎年この日この時間になると流れる鐘の音。どこの鐘を録音したのか知らないが、毎年同じ音である。
戦争を知らない世代が大部分となった日本で、安易に仮装敵国を築いて声高に防衛力強化を叫ぶ論者が目立つし、マスコミもまた安易にそれを報じている。
田中角栄が語ったと言う、『戦争を知っている世代が政治の中枢にいるうちは心配ない。平和について議論する必要もない。だが、戦争を知らない世代が政治の中枢になった時はとても危ない。』という懸念が現実のものになろうとしている今、平和は努力し続けしなければ得られないことを再確認したい。

避暑

サンダルが灼けて飛び込むプールかな

まるでお湯のようだと。

町内プールから帰ってきた親子が言う。
さもあろう。家の水道でさえ西日の影響を受けた午後などはお湯が出てくる。風呂が短時間で沸くというのはまことに省エネに適ったエコな話しだが、温水プールより熱いプールなんてますます体がヒートアップするばかりで、涼を求めるにはほど遠い。
おまけにプールサイドを跣足で歩くのは危険極まりない。日中の我が家の二階のバルコニーだって、うっかり跣足で出ようものなら十秒もいられないくらい熱いのである。それ以上いたらやけどは間違いない。
プールが涼しくなければ、水浴びと言えばもう川くらいしか行くところがないが、これはこれで大変危険なこととて、さて困ったものである。
どこか高度の高いところに避暑するしかないのであろうか。

置配

はだかにてインターフォンと話しけり

ちぢみにステテコ。

これが昭和のおじさんの夕涼み。
現代はTシャツに短パンというところだろうか。
エアコンを使うのでさすがに裸で過ごすと言うことはなく、上下一枚ずつが定番である。
たまに汗拭きなどしていたりして、タイミングが悪いと宅配便が届いたりする。
そんなとき、コロナ禍を機に置配という便利なサービスができて表に出ずに済む。

夏バテ知らず

思はずも時計見上ぐる昼寝覚

二時間近く寝たことになる。

外気温と室温の差は八度くらいか。
じりじりと灼けてくる外に出る用もなく、何するとなく座っているといつの間にか眠りに落ちていたようである。
昼寝は短時間がいいと言われるが、もともといったん寝るとなかなか目覚めない質なのでこれはどうしようもない。
夜は夜で寝付けられないということもなく、しっかり寝てられるのが夏バテしない要員かもしれない。
しかも暑くても食欲はしっかりあり、とくに昼は冷たいものでももりもり食べているのも体力維持に一役買っているのだろう。
夕方には一時間ほど畑で過ごし、一汗かけば昼寝による胃もたれも解消。
ばてることなくこのまま酷暑を乗りきっていきたいものである。