滋味

冷汁の常より多き味噌加減

毎日大量の汗をかいている。

そんなときいつもよりちょっと味噌の濃い冷し汁が体に沁みるようにうまい。
今日も恒例の健診を受けたが、いつものように塩分控え目を仰せつかったものの、よく考えたら汗でいつもより塩分が失われているわけで、今日は味噌をプラスしてもらった。オクラだの胡瓜だの豆腐だの、どれもよく冷えてしかも味を失っていない。
冷し汁の相手は熱々の肉丼。
暑い夏を乗りきるには滋味たっぷりのメニューが嬉しい。

強い株に

中干しの空を精霊蜻蛉充つ

薄羽黄蜻蛉とも言うらしい。

盆の頃に群れて飛ぶ姿をよく見る。
毎日暑い暑いと言いながらも、秋の兆しがもう見られるということである。
中干しとは稲田の土用干しのことで、穂が出る前にいったん田の水を抜いて根をしっかり深く張らせ丈夫な株に仕上げるためである。この時期にひび割れした田を見ることがあるのはその土用干しの途中にあるのを見かけたためだ。連日の猛暑で湯のように沸いた田水を抜くことで土深く空気をいれるためでもある。
こうして強くなった株は二百十日にも耐えて収穫を迎えることになるのである。

高見する

向日葵の迷路をなぞる橋の上

向日葵にカメラを向ける人もいる。

高い位置から見ると、こちらが太陽かと錯覚を覚えるほどみなこちらを向いて壮観でもある。
向日葵畑は町が支援してNPOが育てたもの。
散歩途中の人、あるいはSNSなどで知った人たちが炎天にやってきてスマホをかざしている。
あと一週間ほどは楽しめそうだ。

モスキート退治

蚊を連れて帰還の後の阿鼻叫喚

玄関戸を閉めた瞬間気づいた。

藪蚊を呼び込んでしまったことを。
おまけに蟻も袖にもぐり込んでいたようで腕がちくちくする。
どうやら花の終わった紫陽花を剪定していたときに乗り移ったらしいのである。
それからしばらくは蚊と蟻との戦いとなった。蟻は何とかつぶせたが、問題は蚊である。元気なうちは捕まらないので弱まるのを待つ作戦。飛ぶ力が弱まったところで掃除機のバキュームで吸い込む予定だ。これ案外使えるのである。

風袋

サングラスとれて風采劣りけり

今はどこへ行くにもサングラス。

プラ製だが安くて軽くて使いやすい。
もとは自転車用に買ったものだから眼をすっぽり覆ってくれて光がもれにくく重宝している。
これほど日差しが強くなってくると、紫外線から頭、眼を守らないとダメージが大きい。紫外線アレルギーというか、すぐ汗疹がでる体質でもあるので長時間の野良仕事には長袖が欠かせない。
ともあれ、首にはタオルを巻き、帽子は目深、眼にはサングラスで、何処から見ても正体のしれない風袋。
中身はただの喜寿老人なんだけど。

夕虹

太き虹立つていいことありさうな

昨日夕方帰ってきたら珍しく太くて立派な虹が眼前に見えた。

一方の足は畝傍山あたりにかかり中天で消えているが、アーチの大きさからいうとその延長は春日山辺りをさしている。
最近よく二重虹を見るのだが、今回のはまぎれもなく一本の虹でしかも輪郭がはっきりしている。
橿原のあたりに夕立があってそれに夕陽が差し込んで生まれた虹で、我が家の位置からは日を背負うのは夕方なので朝虹は見ることはできない。朝虹は西に向かって見えるので天気が崩れる方向、逆に夕虹は明日の天気を約束するのだと言う。
案の定今日はからっとした天気で、近畿地方の梅雨明けが宣言された。
さあ気を引き締めて夏に向かっていこう。

気にしない

本性は縮れ毛なりし洗ひ髪

二人揃って伸びてきたと言うので自宅散髪の日である。

そうなれば少しでも涼しいうちにということで午前中に済ませたい。
一年ほど前から何度となく刈っているので、短時間でお好みのスタイルにするのもお手のもの。
家人の若い頃は太くて健康な髪だったからであろうが、最近は縮れ毛の傾向があるようである。そうなるとバリカンもなかなか思うように運ばず難しいのであるが、これにもだいぶ慣れた。
自分の髪は自分でやるが、これは自己責任ということになるので適当に済ませてしまう。したがって毎回どこか変な場所ができるが、自分ではよく見えないのでどうということはない。要するに気にするか、しないかである。