父さんの糸が縺れる五月鯉
ててなしの親子泳げる五月鯉
父親が風に飛ばされてしまった。
竜田川土手に何基も鯉幟がひるがえっているうちの一基だ。取材に來ていたカメラマンがそれを目聡く見つけて、回収しては飛ばされないように竿の根元に巻き付けるように戻している。渋滞の車からそれを眺めていたのだが、なんとなく心温まる光景であった。
川に鯉幟の連隊を並べるのは各地で見られるようになったが、竿一本一本に親子の幟をあげるのはあまりないような気がする。およそ10数本はあったろうか、どれも一様に新緑の生駒山地を借景にして西風に撓っているのは絵になる構図ではあった。
