春を呼ぶ?

人波にしたがい山焼き見て帰る

生まれて初めて若草山焼きを間近に見てきた。

どこがビューポイントか分からないので、とりあえず近鉄奈良駅に出て人波についていくことにする。
降りたらすぐうまい具合に、いかにも使い慣れたカメラと三脚を担ぐ人がいたので後を追ったが人混みで見失ってしまう。
結局、登大路にもどってまっすぐ若草山に向かうことにしたが、ほどなくおおぜいの人が幕開けを待っている広場があるので、ここで一部始終を見届けることになった。
始まりは予定を少し遅れて花火から。
鹿をモチーフにしたものが上がったりしてほのぼのとする。
15分ほど花火を楽しんだあと、いよいよ点火だ。
今日は無風に近い状態なので、裾から燃え上がった炎がゆっくりと輪を縮めるように丘の上に向かっていく。
しばらく見届けたのち広場をあとにした。

ところで、歳時記では「山焼き」は春になっている。
若草山焼きはかつては1月15日、今は1月第4土曜日に行われるので、正真正銘冬なのであるが。

見守りの木

校舎には太き影あり冬欅

小学校の校庭に大きな欅が立っていた。

朝礼台のすぐ横にあるその木は、夏は当時珍しい鉄筋コンクリート造りの校舎を木陰でおおい、冬はあたたかい日差しを通してくれるのだった。
卒業してから2,30年ほどたって初めて訪れてみると、欅はやはり同じ位置に立っていた。
十分に背の高い木だったが、想像以上に大きくは成長していなかった。

優雅な舞い

風花の降りてたちまちかき消えぬ

今日は珍しく午前中の散歩。

カイツブリの今日は2羽連れ。
ぐっと冷え込んだ朝いつものように彼らの動きを見ていると、八尾・柏原の方角から黒い雲が覆うように迫ってくる。
予報によるとときどき雪らしいが、案の定狐の嫁入りの雨ではなく雪、つまり風花である。
綿のようなふわふわした雪が地面に落ちるとたちまち泡のようになって消えてゆく。
積もる程度でもないので、ゆらゆらと舞うように落ちてくるのをしばらく楽しめた。

寒さも今が佳境。すすんで寒さを甘受しようじゃないか。
さすればまもなく来る春の足音が聞き取れるかもしれない。

今日よりは ひとつ歳あげ 雪見舞ひ

今日はまた 歳を重ねり 雪の花

60代半ばに達したこの日、午後になって30分ばかり辺りが真っ白になるほどの雪が舞った。

省エネ中

空風や列車もドア閉め停車中

今日はミニ青春切符。

JR線で和歌山線で王寺~高田、万葉まほろば線で高田~桜井~奈良、関西本線では奈良~王寺という具合に大和盆地の北半分をぐるっと一周したのである。
駅名もいろいろあって興味尽きないものがある。
高田から桜井までの間盆地を横切る形になるが、ここには畝傍、香具山とずばりの駅名があるし、桜井から奈良、つまり山の辺の道に相当する部分には巻向とか帯解など興味をそそられる地域もある。
どこで途中下車しても見所が満載という感じで、暖かくなれば毎日でも行ってみたいものだ。

ただ、ダイヤの本数が限られているので乗り換え時間がたっぷりあるのだ。
その間空けておくドアを絞っているのが救いかもしれない。

寒い夜は

一丁の湯豆腐つつくふたりかな

ここんところ湯豆腐が食卓にのぼることが多いようだ。

それもテレビの料理番組の影響か、一丁まるまる浮いている。そいつを杓子で削り取りながら食べるのだが、最初から食べ頃に切ったものに比べれば、気のせいか味が濃いように思える。

つれあいが飲めないうえ、もともと酒には弱いので晩酌などしたことないが、これだけ寒い夜が続くと熱燗もいいなと思えてくる。

鳰の川

逆波も倦まず狩りするかいつぶり

当地の今日は西風。王寺の町を大きく迂回する大和川に逆白波がたっている。

ヒドリガモの群れがいっせいに飛び立って下流側に向かうが、風に煽られて隊形がまるで下手なゴルファーのスライスのようにすぐに乱されてしまい、しまいには大きく弧を描いて戻されてしまったり。
そんな光景を何度か目にしたが、一方の水面では今日もいる、いる。
カイツブリ君あるいは嬢がただひたすら潜っては顔を出し、潜っては顔を出しを繰り返している。
行きがけもそうだったが、帰りがけにも同じような場所でひたすら同じ所作を繰り返しているので、最低でも2時間はそうしていたことになる。よほど餌にヒットする確率が悪いのだろう。

ここ数日は幾分気温が高めなせいで耳がちぎれるような痛さはない。
今晩から冷えこんでしばらくの間は寒い日が続くそうだが、年間の寒さのピークであっても春がどこかで動き始めているのが予感できる。

冬の川筋で

羚羊の双眸止まる出会ひかな

雪の露天風呂が恋しい季節だ。

随分昔に長野の地獄谷温泉に向かうときのこと。クルマを止めて川筋を歩いていたら、林の中に気配を感じて振り返ると羚羊が斜面からこちらをうかがっている。
随分人里近くまで降りてくるところをみると、山に餌が不足していたのだろうか。
警戒する目だが、とても愛くるしい目をしていたように覚えている。