夏の敵

前年の蚊遣といふも香の褪せず

朝から蚊にやられる季節。

庭にちょっと出た隙にも喰われるので、最近は蚊取り線香を腰にぶら下げる毎日だ。
今日などは台風が来るというので簾なぞ取り込む隙をつかれて、蚊に侵入されてしまった。
閉めきった部屋で線香を焚くのはペットにはきついものがあるが、しばらく辛抱してもらうことになった。

小花火大会

半玉の赤白青と遠花火

十キロくらい離れているだろうか。

丘の上から玉の半分をのぞかせて花火が上がっている。10分くらいで終わる程度の花火なので、どこかの小さな町で打ち上げているのだろう。
そう言えば、この時期毎年のように同じ方角に花火があがるので、七夕祭りや夏祭りの余興であげているのだと思われる。

10キロ近くは離れているが、ちゃんと届く音にうながされて2階に上がり数分楽しませてもらった。

夕立来い

ウェディングに虹のアーチやオアフ島

午後になって吉野・大峰の方向の空模様がおかしい。

黒い雲が湧いてきたようで、山の姿をすっぽり隠してしまった。
その雲がだんだんこちらにも近づいてきたので、もしかすると夕立があるかもしれない。
昼間いくら暑くても夕立が降ってくれれば多少は楽になるのにと思う。

もうずいぶん前に、親戚の子がハワイで結婚式を挙げるというので親戚一同ハワイ旅行を楽しんだが、披露パーティが終わって街を歩いていると二重の虹がかかっていたのを思い出す。虹はオアフ島の定番らしく、一日のうちに必ずどこかで雨が降っているらしい。
盆地の南半分の暗い空がこちらへやってきて雨を降らすのではないかと淡い期待を寄せつつ、とうとう4時になって我慢しきれずに書斎にエアコンを入れて引きこもることになった。

空が明るくなった

白南風や飛行機雲のとどまらず
白南風の窓の茜に暮れなずむ

空がいっぺんに明るくなった。

南風が強くて、カーテンを巻き上げている。
雲も真っ白なのが、高いところのものはゆっくり、低いものはどんどん南から北へ流れてゆく。
飛行機雲が割り込んだと思ったら、すぐに太い雲になり他の雲と見分けがつかなくなった。
入道雲でさえ今日は形無し。たちまち形を崩されて浮き雲と化すくらいだ。

暑さといい」、空の明るさといい、実質的に梅雨明けだろう。

夕空は大変美しい茜雲となった。

黄に染まる

黄菅野をなぞるリフトのときに揺れ
リゾートのリフトを借りて黄菅野に
黄菅野へ高原リフト上り来る
黄菅野に一ト日費やす旅程かな

こう暑いと涼しい景色を思い浮かべるのが一番。

盆休みに、猛暑の諏訪から上がった車山高原、霧ヶ峰の爽快感も忘れがたいが、ゲレンデが黄菅野と化した霧降高原も色を伴った記憶として懐かしい。

那須に別荘を構えるI君は今頃黄に染まっているだろうか。

補)リフトは平成22年に廃止されたそうです。遊歩道と天空回廊と呼ばれる1,445段の階段を散策しろということらしいです。

憂気を払う

暑気払昨日誘はれ今日誘ふ
とりあへずジョッキ傾け暑気払

地上の喧噪をよそに屋上のビール。

梅雨明けともなれば10日は暑い日が続く。
定時で仕事を終えてもなかなかまっすぐ帰る気分ではない。
毎日誰かが誘い、みんな抵抗のないまま暑気払いと称して繰り出す。

そんなサラリーマン時代の思い出。風でもあれば別だが、冷房とてないビルの屋上は飲めば飲むほど汗が体にまとわりつく。
しょうもない話に終始し、割り勘で勘定を済ませては散会。
気分的には暑気ならぬ憂気払いであろうか。

小坊主

ふくれっ面すぐに崩れし雲の峰

二階の書斎に上がったら、吉野の上に積乱雲が立ち上っている。

時期的には梅雨明けも間近だが、台風の影響もあってかなかなか明けそうにはない。
今日は予報を裏切って久しぶりの梅雨の晴れ間となり、気温も急上昇。家の中にいても30度超、湿度75%とあっては老骨がついてゆけない。
積乱雲だって本格的な夏の準備が整っていないのか、大きく高くはなれないで、餅が焼けてきてふっくら膨らんできたような可愛い姿だ。同じ入道雲でも小坊主であるようだ。しばらく眺めていると、まもなくその膨らみは相好を崩すかのようにしぼんでしまって、崩れた雲はどんどん西の方へ流れてゆく。

三つの大型台風の行方が気になる。梅雨明けは台風が去ったあとだろうか。それとも、その間にまた台風が生まれて雨に悩まされるのだろうか。