短い旬

藪わけて紅一点の蛇苺

草が青々としてきたなかに赤いものを見つけた。

蛇苺のようである。
食べられるらしいがまずいと言うことである。
同じイチゴでも草イチゴというのがあるがどう違うのかよく知らない。ただ、草イチゴというのは粒がつぶつぶタイプなので辛うじて今日のは草イチゴではないと判断できる。その草イチゴは草苺として苺の傍題となっている。
今日は菜園仲間から歴としたイチゴのおすそわけをいただいた。甘いのは売ってるものと差がない。上手に作れたものだ。ただ、イチゴの旬は短く自分で作ろうとは思わないが。

安全地帯

水瓶に響き妙なる雨蛙

マイ畑にも青蛙が居ついている。

おおきな水瓶を並べて雨を溜めたり、運び込んでるのだが、その近くは手が入りにくいこともあって草蔭に覆われている。当然餌となる虫も多いだろうし、蛙にとっては身を隠すには格好の場所なのであろう。行けば必ず顔を出して、たいして慌てるでなくこちらの様子を伺っている。
今日はどうしたことか、水瓶のなかに入り込んでいるようで、箕をかぶせてある瓶のなかではよく響き合ってつねよりいい声を聞かせてくれる。とうとう引きあげるまで瓶の中でずぼらを決め込んでしまった。彼あるいは彼女にとっては居心地がいい安全地帯なのであろう。

豆腹

そら豆を剥きつつ時価の話など

蚕豆が旬となってきた。

自宅では酒を飲むことはないので、蚕豆が出ることは滅多にない。夫婦揃ってとくに好きでもないからだ。
ただ、周りがみんな蚕豆を植えるものだから、つきあいのように種を蒔いてみた。約半年たって収穫が始まったのであるが、思ったよりうまくいってかなりの数が採れそうである。
豆は手の込んだ料理はいらない。塩茹したり焼いたり、地のままいただくのがいい。
今日は珍しい赤いエンドウ豆のご飯。豆たっぷりの夕食はそれだけで腹がいっぱいになった。

暑熱順化

腕カバーの肉が蒸せくる薄暑かな

当地の五月中旬は暑熱順化の時期だそうである。

広島では五月上旬、四国は4月下旬、九州は4月中旬など、30度を超える日が現れるのがその頃だという。
この時期に、この夏の暑さに備えて汗をかいたり、しっかり体を順応できるようにしておくことが望ましいとも。
今日の当地の気温は25度だが、空気が乾いていてむしろさわやかなくらい。ただ、野外で体を動かせば日差しが強くそれだけでも汗がにじむ。
幼稚園送迎バスのお母さんたちも今日の立ち話も長くは続かない。

夏寒

自転車をこぐ初夏の寒さかな

自転車の風が冷たい。

初夏とはいえ今日あたりはまたまた4月に逆戻りのようである。
夏寒しというほど夏は進んでいないし、浅い夏ならではの、春と夏とが交差するような日々の連続である。
連休が終わった途端浮かれた気分は否が応でもしぼんでしまうような夏寒とも言えようか。

仕立て直し

柿若葉雨をふくみて下垂るる

柿はつぼみも顔を出してきた。

枝先が多くの葉をつけて重たそうであるのに加え雨をたんまり受けて、それだけの重量を支えるだけの太さ、硬さをもたない若い枝がいっせいに垂れ下がってしまった。
枝振りが悪くなったので、昨年思い切って切り下げて新しい枝の成長を促したのがどうも裏目になったようである。
上へ向けてしっかり伸びて行けるよう、一から仕立て直しが必要のようだ。せっかく若葉を茂らせてきた柿には気の毒だが、この雨が止んだらちょっとした手術をせねばなるまい。

保温バッグ

水筒の水もだらけし暑さかな

日向へ置いておいた水筒の麦茶がもう生温い。

曇だと聞いて油断していたのだが、予報にさからって強烈な日差しが肌を刺す。この時期は水分補給に注意しないと身に危険がおよぶので注意しているのだが、さすがに夏日には冷たい茶なり水がありがたい。
生温い水、麦茶となると爽快感に欠けてしまうので、喉の渇きをいやすには物足りない。
明日からは保温バッグにでも入れて持ち歩かねばなるまい。
今日から名実ともに夏。熱射病対策はおこたりなく。