稲妻の峡の出口をふたぎけり
昨日など珍しく遠雷があった。
大和盆地から大阪へぬける狭隘部の空が時に明るく、その後しばらく時間がたってからドドドという響きだけが伝わってくる。
これが山峡の集落なら、しばらくは峡から抜け出すのをためらうかもしれないと連想してみたが。
甲子園で故郷の三重高校が惜敗した。想像以上の健闘を讃えたい。
甲子園に行く予定が天気が悪そうなので取りやめ、かわりに涼しいうちに軽く洗車のつもりが、どんどん天気がよくなってきて暑さでばててしまった。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
稲妻の峡の出口をふたぎけり
昨日など珍しく遠雷があった。
大和盆地から大阪へぬける狭隘部の空が時に明るく、その後しばらく時間がたってからドドドという響きだけが伝わってくる。
これが山峡の集落なら、しばらくは峡から抜け出すのをためらうかもしれないと連想してみたが。
甲子園で故郷の三重高校が惜敗した。想像以上の健闘を讃えたい。
甲子園に行く予定が天気が悪そうなので取りやめ、かわりに涼しいうちに軽く洗車のつもりが、どんどん天気がよくなってきて暑さでばててしまった。
旧蹟の無聊なぐさめ花野なす
平城京、藤原京は、ただただ、だだっ広い。
そのだだっ広さが、忘れられた都の跡という感懐を深くするのだ。
発掘した跡がいったん埋め戻されてただの更地になってしまうので、よけいその感が強くなるのかもしれない。
観光のため一画に花などを植えたりもするが、それすらも虚しいと感じてしまうときがある。
峡渡る盆唄夜の更けてなほ
夜更けて盆唄わたる峡の村
抑揚の小さき盆唄峡の村
川をはさんで手前三重県、向かいは和歌山県飛び地。
吉野熊野国立公園内にある父母の故郷である。
いまでも行われているのだろうか。かつては、熊野川上流の北山川をはさんで三つの集落が、盆の期間それぞれ持ち回りで毎日盆踊りを開催するのだ。レコードでも、炭坑節でもなく、この地方独特の盆唄だけを集落ののど自慢が未明まで唄い、盆休みに帰省してきた子供や孫たちがそれに合わせて輪になって踊るのである。深夜ともなれば青年会中心の踊りとはなるが、旧盆の時分ともなれば、川をはさんだ山峡の夜は昼とうって変わって蒸し暑さもうすれ随分過ごしやすくなるし、若い衆には苦にはならない。
唄の内容は忘れてしまったが、歌詞もリズムもメロディも単調なものであったことは確かだ。未明までずーっと通しで唄い、踊るには、このような抑揚の少ないもののほうが適していたのかも知れない。
今より40年ほど昔の熊野の思い出である。
手作りの竿のしぼれる根釣かな
釣は秋に限る。
と言っても、冬や春、夏それぞれに対象の魚はある。ここでいう釣とは磯釣り、あるいは岸壁釣りのことである。冬、深場に落ちる前にしっかり体力をつけようとして食欲が盛んになり、岸辺にも寄ってくることが多く、体も相当大きくなって力も強いので、いわゆる引き味もいいのである。
そしてベテランともなれば、ただ釣るだけでは飽きたらず道具にもこだわるようになり、それも昂じると自作までするようになって、傍からはなかばあきれ顔で見られたりする。
ただ、やはり手作りの竿や浮子などで大物をあげたときなどの醍醐味は別格で、そうなるとますます病膏肓に入るということになる。
今は海のない国に引っ越してきて、波音、潮風が聞けない、見られないのはやはり寂しいものがある。
ほつほつと白砂の庭の桔梗かな
庭の白砂がまぶしい。
京都・廬山寺の源氏庭の白浜に浮かぶ島には桔梗が植えられていて、7月から9月までおよそ3か月という長い期間咲き続けるようだ。
桔梗というのは蕾が徐々に風船のようにふくらんでは弾け、青紫の花弁を広げるところが面白い。次から次へと蕾が育つので、毎日のように新しく風船がひらいては目を楽しませてくれる。
花自体にははなやかさから遠いが、直立した桔梗が風にもしなやかに揺れているのを眺めていると、あらためて桔梗の芯の強さというものを感じることができる。
うつすらと実むらさきとはなりにけり
寄りあうて色づきあうて式部の実
実むらさき枝のもとよりあらわれぬ
気温は相変わらず33度くらいを指していて暑いことには変わりがないが、いくらか風が秋めいてきたので久しぶりに飛鳥へ行くことにした。
目当ては、少々早いかもと思うが芙蓉の花である。奈良で芙蓉と検索すると飛鳥寺とでてきたが、さらに酔芙蓉で検索すると今度は真っ先に橘寺と出てきた。橘寺は太子ゆかりの寺で生誕地ともされているが今まで行ったことがないので、まずは橘寺を目指すことにしよう。
西門から入るとすぐに目についたのが紅芙蓉だった。
まだ咲き始めとみえ、境内にはほかに白芙蓉、酔芙蓉があるがほとんとが蕾すら見えない状態で、見頃にはまだ20日ほどあると思われた。
そんななかでお目当ての酔芙蓉はないかと尋ねまわって、やっと見つけたのが境内の奥だった。
日が高いせいかまだそれほど紅くなってないが、花弁の底の方が心なしか酔いが回り始めたように見える。
時間はたっぷりあるので天武・持統天皇陵、稲渕の棚田をみたり、先ごろ四角いピラミッド型の珍しい古墳としてニュースとなった、蘇我稲目の墓ではないかという説もある都塚古墳、山田寺跡、飛鳥資料館にも立ち寄るなど、飛鳥三昧の一日である。
飛鳥というのは不思議な土地で、一度来てみたらまたすぐに来てみたくなる。
近いうちに時間をみてまた訪ねてみようと思う。今度は盛りの酔芙蓉、棚田の曼珠沙華などが見られればいいなと思う。