高原の合宿

合宿に西瓜三個の差し入らる
合宿の西瓜三個のまたたく間

夏休みは部活の合宿が盛んに行われる。

冬のスキー場として有名な菅平も学生合宿のメッカ。昼間たっぷり汗をかいたあとの食べっぷりも見事だが、OBなどから差し入れられた西瓜もまたたくまに平らげたりして、若さがはちきれるばかりである。

ここで、学生の遊び人数人がゴルフしていて間近に雷が落ちたけど命拾いした奴が、今でもしぶとく九州で社長やってるのがいる。

十六大角豆

盆野菜間に合ふやうに育ちけり

山村の畑でいろいろな野菜が作られていた。

なかでも目を惹いたのが「十六大角豆(ささげ)」とよばれる長さ30センチ以上はあるかという大角豆である。その名の通り、一本の莢の中に10数個の実が入っているもので、お話をうかがうと盆の棚に供える予定だという。食べたことはないが莢ごと食べられるくらい柔らかいそうである。

間もなく帰省してくる子や孫の食べさせる予定のトウモロコシや西瓜なども立派に育って、盆準備もすっかり整った。

桃源郷

伊那谷の桃をはぐくむ水なりや

ここ数年毎年中元としていただく飯田の桃がおいしい。

それは大きな桃で甘さも十分、店で買えば相当な値段だろうと思われる一級品である。
桃は傷みが早いので、盆棚に毎日一個を捧げてはさげて冷蔵庫にいれて冷やして食べる、この期間10日くらいは続きなんとも贅沢な日々なのである。

山梨や岡山、福島県などは桃の生産地として知られているが、長野の伊那盆地もまた桃の名産地であったとは知らなかった。アルプスからの水が豊富なこと、天竜川をはさんで川霧とか冷涼な空気とかかわっているんだろうか。
伊那谷の澄んだ青空を思い浮かべながら今日もまた一個家人と分けて食べた。

はるか南の海に

野を分きてくるもののふるさと思ふ

台風11号は日本海へ抜けたらしい。

この台風は雨の台風と言っていいだろう。
そして紀伊半島、なかんずく三重にずいぶんな量の雨をもたらした台風というものの、海から水を吸い上げるパワーというものに恐れすら感じるものがあった。
もちろん、雨だけではなく風もあったわけだが、このような荒ぶる自然、自然現象というものはすべて海から生まれたということにである。

海があるからこそこの地球に生命が存在し、我々人類の今日があるのだが、その人類を含めたこの世の目に見えるものを破壊し尽くすことができるのもまた海から生まれるものであるということをあらためて思わざるを得ない。

立秋を告ぐ

虫の声呼ばんと窓を放ちけり

この朝キリギリスが窓のすぐ下まで来てくれた。

思わず窓まですり寄って耳を澄ます。
大きくくっきりとした声だ。
猫たちには姿が見えるのかしきりに一点を見つめている。

いつもは隣の空き地や、庭の草むらなどで鳴いているのが、どうしたことか今朝に限ってすぐそばまで来てくれたようだ。立秋だよと告げに来てくれたのかもしれない。