溶け込む

新入生おくせず下校集団に

新学期が始まった。

はじめは給食がないのかどうか、帰りが早いような気がする。
登校も下校もご多分にもれず集団には変わりがなく、背もずいぶん大きな上級生に混じっていかにも新年生とおぼしきランドセルを背負わせられてるのがいて微笑ましい。
とは言っても、今の子たちというのは先輩に必要以上の遠慮というものがないようで、伸び伸びしているのがたのもしい。幼稚園にしても保育園にしても、幼い頃からの集団生活になれていて新しい環境でもごく自然に溶け込めるのだろうか。

悲鳴

ものの芽の怒濤にわれも待つたなし

ひと雨で景色が一変した。

雑木山はいっせいに新芽を吹いて薄緑の衣をまとい満開を過ぎた山桜も影が薄い。いっぽう、目を地上に転じると放棄田も野も草たちが萌えて命に満ちているようだ。
こうなると、いろいろサボっていた庭仕事だの、菜園の準備だのがもう待ったなしで腰を上げねばならなくなった。
三ヶ月に一度の歯科健診を済ませると、さっそくの野良仕事。部屋の中ではまだ肌寒い感じだが、外は紫外線も強くて気温もぐんぐん上昇。なまった体が悲鳴を上げた一日となった。

くすみ

花冷の水をたたへしプールにかな

町営ウオーターパークの桜もどうやらピークを過ぎたようである。

駅へ向かう途中にあるので、いやでも目に入ってくる施設と立派な染井吉野。
今年は開花から満開まであっという間に到達したようで、きょうの冷たい雨はさながら花散らしの雨でもある。
鎮守の森の桜も年々の老化で細くなってくるように思えるうえ、彩度の衰えも隠せないのが、今日の雨でさらにくすんだ色になっている。
落花の頃檜花粉もピークを迎えるらしいが、この雨で一息つける鼻炎である。

けなげ

矮犬の野太く咆えて園うらら

最近家で飼うのが当たり前になってさらに小さくなった。

伝統的な犬がめっきり少なくなって、改良された矮犬全盛の時代である。これが極端になると骨折しやすくなったりとか、特有の病気が多くなるとか、人間の都合によって小さな命をもてあそぶ弊害もでている。
何の犬種か分からない、ごく小さな犬とすれ違ったら、いきなり体に似合わない太い声で咆えられたので驚いた。けなげにも主人を守ろうとしているようで微笑ましくも思えるほどである。

配偶者

初燕各戸の軒場さぐるかに

家の軒場を探るような動き。

身近に今年初めて見たツバメである。
そう言えばここ数年ご近所には巣をかけないようである。引っ越してきた当初は新しい家の軒場にいくつも巣を見かけたのだが。或る年から鴉が襲うようになったのが原因と思われる。
今朝のぞきにきたツバメもおそらく巣をかけず仕舞いとなるだろうと思えば残念である。
単身で来ていたので、巣の前にまずは配偶者を見つけなければ。

園芸

チューリップ歌詞なぞるかに赤白黄

お隣さんが上手に咲かせている。

まるで童謡のように赤(橙)、白、黄色と咲き分けて、おおきな花片が風に揺れているのも歌っているようである。
車で15分ほど行けば大きな県立公園があって、今ごろは何万本ものチューリップを目的に多くの県民が集まるが、駐車場も道路も混雑なくお隣のお庭ですませられるのがありがたい。
お隣の園芸の腕前もだいぶ上がってきたようだ。

集約

花曇出入り激しき道の駅

陽気がよくなると人の動きも活発になるようだ。

行くところ行くところ桜が咲いて、目を奪われるシーンが何度か。
街の中には学校に、公園に、町庁舎などなど見飽きることがないが、不思議に大和川沿いには少ない。支流の佐保川、飛鳥川、高田川などはよく知られるが、合流して本流となると途端にあの広い河原は寂しいものとなる。目立つのは増水時に流れてきたゴミが散らばる水際である。盆地の雨という雨を集めるだけでなく、ゴミも集約されるというわけである。