青鷺の森となりける御陵かな
全長220メートルを超える堂々とした御陵である。
第11代垂仁天皇陵は、外壕の中に田道間守の墓とされる小島があることが特徴だ。
水をいっぱいに湛えた壕には餌が多いらしく、カイツブリや川鵜が次々に水もぐったりしている。また、墳丘に繁った木は青鷺のコロニーになっているようで、何羽かが木の上にまるで飾り付けのようにじっとたたずんでいるのが見える。
この垂仁天皇というのは、皇后の亡くなったとき殉死をやめさせ代わりに埴輪を作らせたり、皇女の倭姫に天照大神の祭祀を命じたりしたとされるが、さらに相撲の発祥になったと伝えられる野見宿禰と当麻蹴速の闘いもこの天皇の前で行われている。
宮内庁による陵の名は「菅原伏見東陵」ということから分かるとおり、ここら一帯は後世に土師氏の支流・菅原氏の本貫地となっており、あの道真も当地で生まれたとされている。
ちょっと足を伸ばしただけで、古代に触れられるのも奈良らしくていい。


