長閑さや肌身離さぬ杖忘れ
急に暖かくなると注意力も一気に散漫になるらしい。
いつものごとく買い物のアッシー役として家に戻ると忘れ物をしたという。
さいわい親切な人が受付に届けてくれていてことなきを得たが、何十年も世話になってる杖を忘れるのも春のなせる業であろうか。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
長閑さや肌身離さぬ杖忘れ
急に暖かくなると注意力も一気に散漫になるらしい。
いつものごとく買い物のアッシー役として家に戻ると忘れ物をしたという。
さいわい親切な人が受付に届けてくれていてことなきを得たが、何十年も世話になってる杖を忘れるのも春のなせる業であろうか。
一声の僥倖得るも初雲雀
たまたま外に出たときだった。
たしかにどこかで雲雀が鳴いた。
住宅街の真ん中なのでいったいどこで何してるんだろうかと不思議に思ったけど、あえてありかを探ろうと振り向くことはしなかった。
明日もまた外さえ出れば聞こえるはずだ。
花粉がピークを迎えているので葉書を出しに行くにも車を使ってしまうが、やはり戸外に出ればいいことはある。
春めきし水の出会ひも大和川
その名もずばり河合町である。
盆地のど真ん中、佐保川、初瀬川、飛鳥川、曽我川など歴史に知られる名の川が一カ所に合流するあたりの町である。大和三大奇祭・砂かけ祭の広瀬大社が知られるが農業主体の町である。
弥生の頃はおそらく湿地帯で、いくつもの支流が複雑にからみあうような場所だからたびたび水害に悩まされてきたところである。ここに拠点を置いたという古代豪族はよく知らない。
昔はともかく、今は治水対策もすすんで肥沃な田園が広がっている。
春の水を集めた大和川の水面がかがやきをます季節である。
苗札の種をおろせし日数かな
苗札には名前と蒔いた日付が記してある。
毎日毎日起きては芽が出てはしないかを確かめる。3、4月の日課と言っていいかもしれない。
今朝のぞいてみたらナスの芽がのぞきかけていた。七日目。順調である。
ほかのナス、唐辛子の仲間も間もなく顔を出すであろう。
ただ、昨年の経験から言うとおおむね唐辛子の苗は成長がゆっくりで油断はならないのであるが。
沈丁花の天突く枝の芽ぐみけり
見る間に伸びやかに枝が目立つようになった。
さらに、赤い芽が目にもくっきりめだって膨らんできて、もうこれは冬芽のそれではない。
去年植えた苗がこんなに背が伸びるのかと思うほど、枝という枝をを天に向けてひとまわりも二回りも成長したようだ。
このまま順調にゆけば、まもなく甘くて強い香りが庭の一隅を占めるにちがいない。
今日は二月に戻ったように寒い日だったが、まもなく芽ぐみの春だと思うと苦にはならない。
弾正が城址発する水温む
気分の問題かもしれないが底を脱したような気がする。
というのも毎日、朝晩水を使うことが多いから分かることである。
鉢に水をやるにもあまりに冷たいと可哀想な気がしていたが、これからはいくらか救われる。
啓蟄もすぎたことだし、地もまた温もり始める。
ポケットで温めていた唐辛子の種もようやく根を出してきた。いよいよ忙しくなるぞ。
青垣の形をうしなふ黄砂かな
春一番と黄砂が同時にやってきた。
盆地全体が白濁して見え、もちろん金剛・葛城、生駒、竜王もその輪郭自体を失っている。
おりしも杉花粉の最盛期を迎えていることもあり、庭に出るにもマスクは欠かせない。
とっとと用事を済ませては、玄関先で衣服をはたいたらそそくさと家に入る。
ベランダは砂でざらついている。