吊鉢が仮の庵や雨蛙
住宅地に隣接する田の方向から蛙の声がさかんに聞こえてくる。
確認したわけではないが、おそい奈良盆地の田にもようやく水を張り始めたのではないだろうか。
そう言えば、いつもなら庭で声を聞かせてくれる雨蛙君の鳴き声を聞かないし姿も見かけないので、何処かへ行ってしまったか、死んでしまったに違いない。
そんなことを考えていると、今日ひょっこりと顔を見せてくれたのである。いつものようにランの棚に吊ってある鉢に水をやっていたら、半緑色の衣装に身を固めた一匹がこっちを向いているではないか。
鉢は冬の間は部屋に取り込んでいるので、春に外へ出したらいつの間にかやってくるという彼(または彼女)にとってはお気に入りの場所らしい。毎年寒くなるといつの間にか姿をけしてしまうが、よもや鉢の中で冬眠しているのではあるまい。
今日もまた真夏日に近く、例によって奈良盆地には雨がなかなかやってこずゲッゲッゲッという予告もまったくないので、それまでは毎日天に代わってせっせと水分補給してやらなきゃね。


