不安定な大気

長居するかみなり様や風呂立てる

近くで雷が鳴り雨もぽつぽつときていたが、南からきた黒い雲が北のほうへ流れたのを見てポタリングに出かけたのはいいが、その判断は間違っていた。
漕ぎ出して5分もゆかぬうちに大粒の雨にたたかれて雨宿り先を探すうち全身ずぶぬれになってしまった。コースに沿った川は濁流と化していたので、黒い雲がかかっていたと思われる上流域で短時間強烈な降雨があったらしい。

小降りになった隙をみて帰宅したが、それからも雷は鳴り止まない。
ほかにやることもないので、風呂場でじっくり雷様とおつきあいすることとした。

生命のくりかえし

来し方の自分史重ね蝉の羽化

今朝タバコを吸おうと庭でしゃがんでいると、いくつもの木の地面からちょうど1メートルくらいの高さにいくつもの蝉の抜け殻がしがみつくようにぶら下がっていた。
煙を吐きながら、彼らの長い眠りの間の、自分の来し方を思わずにいられなかった。

見慣れたものでも普段とは違う位置から眺めてみると新たな景色も見えてくるものだな。

行くか停まるか

しぶきあげ自転車白雨を走りけり

今朝のトレーニングは午後から雨との予報で油断していた。
久しぶりに上りは快調なペースで戻り道もご機嫌だったのに、ぽつぽつときたなと思うまもなく本降りになってしまった。
見渡しても雨宿りできそうなところもなさそうで、ここはタイヤからしぶきを舞い上げたまま突っ込むしかなかった。愛車よ、許せ。

揚羽蝶の残したもの

山椒の実だけ残りて夏の蝶

鉢植えにして3年目の山椒が、今年は背丈も50センチ以上まで伸び、おおいに新芽の恵みを楽しませてもらった。
ところが、山椒とか柚などの柑橘類は蝶の幼虫にとっては大好物なのだ。
だから、蝶が飛び始める時期、最初のうちは産みつけられた卵を見つけては丹念に駆除をしていた。
ところが、うっかりしているうちに、おびただしい数の卵が産みつけられたとみえ、それらが一斉に孵化して幼虫になっているのを発見。
こうなると、つぶすには可哀想だし、なにより捕まえたときのあの甘酸っぱい匂いに閉口してなせるがままに放置することにしたのだが、当然ながら全てが羽化する頃には無惨にも鉢は枝だけを残した丸坊主に。

いよいよ枯れてしまうのかと半ば諦めていたのだが、数日後山椒は丸裸となった枝の先から再び元気な新芽を伸ばしているではないか。

やあ同類

わが影に翅を休める夏の蝶

今朝いつものように、愛車ケルビムで喘ぎ喘ぎ戦車道路経由小山内裏公園尾根コースを走った。
終点で休憩していたところ、全体に茶褐色で裏に星がふたつある珍しい蝶が、突然手にしていた地図の上に停まったので驚いた。
蝶は、そのあとも、まるで私の休憩につきあうかのように、傍で翅をゆっくりと上下させているのだった。