日照り雨

そばへして雷の夕立きたりけり

贅沢な天気の日だった。

ようやく雨が上がって晴れたかと思うと急激な気温上昇。さすがにこれは体にこたえる。
鉢の植物がいっきに元気がなくなるのもこんなときだ。雨をたっぷりふくんだまま、いわゆる高温多湿に見舞われると繊細なものにかぎって萎れてしまうことがある。蒸れによわい仲間がそうである。
そして、夕方文字通り夕立があって、その前触れがこの時期としては長く続く雷が上空にとどまった。その夕立もいわゆる日照り雨で、その極端な差は狐の嫁入りというようなやさしいものではない。
夕方の斜めからさす光が家々の壁に突き刺すように明るいのに雨は土砂降り。盆地のこの一画だけ、スポット的に強い雨が降り続けて30分ほど。夕方の光だけを残して雨は止んだ。

悔やむ

卯の花の日差めぐまれ参観日

新興団地から夫婦連れ、ときには幼い児の手を引いて学校へ向かう集団の列。

昨日の話だが、どうやら近所の小学校の授業参観日だったようだ。
ほとんどが夫婦揃ってというのが我らが世代とおおいにちがう点である。我らのときはほとんどが母親が出席でたまに父親が混じる程度。土日休みどころか半ドンですらない大黒柱が多かったので必然的にそうなったのだ。
子育ては母親任せという認識が長くつづいた背景もあったにちがいない。我らも親世代と似たり寄ったりで、私もやはり参観日に出た記憶がほとんどない。今となって一回くらいはわが子の様子など見ておきたかったとちょっぴり悔やむのであるが。

当方事情にお構いなく

明易のスマホに顔の照らさるる

夜中のメールなどで目が覚まされることがある。

一体何なんだとスマホを開けてみると、寝ぼけ眼には眩しくてたまらない。
緊急性がない内容だといらだたしくて電源を切ってしまうこともあったり。
スマホ、あるいはもっと昔のガラパゴス携帯以来、当方の事情などいっさい関知せず一方的な呼び出しを受けることがふえて大迷惑である。かと言って、いまどきの緊急警報などは万が一に備えて受けるようにしておきたいという欲もあって、その兼ね合いが難しいところでもある。
黒電話の頃は、夜にはよそさまには電話してはいけないという社会の暗黙のルールがあり、私生活の安寧は守られていたのだが、携帯時代になってどこでもいつでも受話器が鳴るのにはいささか閉口である。
私は基本が固定電話。携帯は受信と使い分けていたのだが、世間が携帯中心になってきているのでやむなくつきあうことも多くなった。電話会社の競争で、電話ホーダイというサービスが増えたことも長電話につながったり迷惑なことである。

短い旬

藪わけて紅一点の蛇苺

草が青々としてきたなかに赤いものを見つけた。

蛇苺のようである。
食べられるらしいがまずいと言うことである。
同じイチゴでも草イチゴというのがあるがどう違うのかよく知らない。ただ、草イチゴというのは粒がつぶつぶタイプなので辛うじて今日のは草イチゴではないと判断できる。その草イチゴは草苺として苺の傍題となっている。
今日は菜園仲間から歴としたイチゴのおすそわけをいただいた。甘いのは売ってるものと差がない。上手に作れたものだ。ただ、イチゴの旬は短く自分で作ろうとは思わないが。

安全地帯

水瓶に響き妙なる雨蛙

マイ畑にも青蛙が居ついている。

おおきな水瓶を並べて雨を溜めたり、運び込んでるのだが、その近くは手が入りにくいこともあって草蔭に覆われている。当然餌となる虫も多いだろうし、蛙にとっては身を隠すには格好の場所なのであろう。行けば必ず顔を出して、たいして慌てるでなくこちらの様子を伺っている。
今日はどうしたことか、水瓶のなかに入り込んでいるようで、箕をかぶせてある瓶のなかではよく響き合ってつねよりいい声を聞かせてくれる。とうとう引きあげるまで瓶の中でずぼらを決め込んでしまった。彼あるいは彼女にとっては居心地がいい安全地帯なのであろう。

豆腹

そら豆を剥きつつ時価の話など

蚕豆が旬となってきた。

自宅では酒を飲むことはないので、蚕豆が出ることは滅多にない。夫婦揃ってとくに好きでもないからだ。
ただ、周りがみんな蚕豆を植えるものだから、つきあいのように種を蒔いてみた。約半年たって収穫が始まったのであるが、思ったよりうまくいってかなりの数が採れそうである。
豆は手の込んだ料理はいらない。塩茹したり焼いたり、地のままいただくのがいい。
今日は珍しい赤いエンドウ豆のご飯。豆たっぷりの夕食はそれだけで腹がいっぱいになった。

暑熱順化

腕カバーの肉が蒸せくる薄暑かな

当地の五月中旬は暑熱順化の時期だそうである。

広島では五月上旬、四国は4月下旬、九州は4月中旬など、30度を超える日が現れるのがその頃だという。
この時期に、この夏の暑さに備えて汗をかいたり、しっかり体を順応できるようにしておくことが望ましいとも。
今日の当地の気温は25度だが、空気が乾いていてむしろさわやかなくらい。ただ、野外で体を動かせば日差しが強くそれだけでも汗がにじむ。
幼稚園送迎バスのお母さんたちも今日の立ち話も長くは続かない。