逢魔が時

暗転の空の点描蚊喰鳥

今年は蝙蝠をあまり見ない。

夕に靴の泥をおとしていると、見事な夕焼け。それが東の雲にも及んでいる。
みるみるにくれないが紫になり逢魔が時という頃、くっきりとした蝙蝠のシルエットを発見。今日はやたら高いところを跳んでいる。虫が高いところにいるんだろうか。
ということは明日も雨の心配はないと言うこと?

お茶を濁す

飼猫の喧嘩をさばく夜の秋

山の端に日が沈んだとたんに風に涼しさが加わる。

わずかずつだが秋の兆しを体で感じるようになったのは嬉しいが、昼間の日差しに射られるととてもじゃないが立っていられない。暦では秋だが皮膚感覚ではまだまだ夏のままである。
虫の声も少ないし、水もまだまだ生温い。秋の材料を求めるのは至難の業で、今日の句のように夏の句でお茶を濁すしかない日々である。

あと四日

炎熱もものかは野球少年団

熱中症警報が毎日出される。

それでも少年野球が町内グラウンドで練習に汗を流しているのを見て、ほんとうに大丈夫かいなと心配になる。
意外に本人たちは気にしてないかもしれないし、練習時間にも配慮しているのだろうが、他人ながらはらはらしながら見ている。
そのグラウンドで夏休み最後の子供イベントが行われたようである。こちらは午後5時頃から開始とあって熱中症は心配しなくてもよさそうだが、コロナ禍以来大勢が集まるイベントが久しぶりとあって大盛況のようである。夏休みもあと四日。北海道とは違って冷房化率がここ数年で進んだ校舎だから、休校と言うことはない。気持ちを切り替えて新学期を迎えてもらいたいと願う。

一様

夕風につられスウィング韮の花

放置したままのニラに可愛い花が咲いた。

直径3センチほどの毬のような白い花が可憐である。おりしも夕立の雲が近づいてきて涼しい風が吹き始めると、茎の長さ30センチのてっぺんに咲いた鞠がみな一様に揺れ始める。
見ているこちらも涼しさをいただいたようで、汗まみれで帰ってきた身にも優しい風が吹いてきた。

まともな夕立

二車線をともに突つ込む白雨かな

高度510メートルの標識がある。

気温計は盆地より六度くらい下がってきた。
これだけの気温差があるのはもちろん高度差だけではない。
高度が100メートル上がれば0.6度下がるという算式に従えばせいぜい2、3度の差でしかないからだ。
理由は夕立。おりしも黒雲が前方から盆地にかけて広がっているなと思った途端バラバラと大粒の雨が窓を叩く。たたでさえ事故の多いことで知られる峠の下り道だけに、各車一様に速度を落とし慎重な運転に変わる。
何とか無事に盆地にたどり着いたが、ここも珍しく気温が下がっていた。夕立のあとの涼しさというのもなかなか感じられないでいたが、ようやくまともな夕立に出会えたような気がする。

耳に胼胝

一升の麦茶飲む日のつづきけり

秋の季題を探すのにも疲れた。

昼間の行動は危険とばかり、もっぱら冷房の部屋に籠もっている。
かかりつけの医者には冬でも水をちゃんと摂れと耳に胼胝のできるくらい聞かされてるが、この夏は言われなくても朝から冷たい麦茶のお世話になっている。
一升どころか、だいたいは2リットルのペットボトル一本分は軽く空けている。
汗となって体を冷やしてくれると思えばもっと飲んでもいいはずであるが。

トーナメント

タイブレーク走者活かせず夏終る

無死走者一塁二塁。

願ってもないチャンスだが、これが延長戦となると状況は違ってくる。先攻であればしっかりものにしないと、その裏に敵チームにも同じチャンスが与えられまずは点を取られるものと覚悟してかからなければならない。チャンスだがそういうプレッシャーとも戦わなければならない。
もともと延長戦は後攻チームの方が遊離だという見方がある。きちんと相手チームの得点を防ぐことができれば。それこそビッグチャンスである。
高校野球で延長戦タイブレーク方式が取り入れられたのは、酷暑のもとで延々と試合を続けると危険が高まってきたからというのが大きい要員だろう。
この大会もタイブレーク方式の延長戦がいくつも見られるだろう。負ければ明日はなく、三年生の夏は終わるのである。