趣味DO楽

苗売の言ふままあれもこれも買ひ

ゴールデンウィーク中のホームセンターの混み様はただごとではない。

DIYコーナーもそうだろうが、園芸コーナーのことである。野菜や花の苗もその種類や数は普段の倍以上もあろうかというくらい並べ立てられ、みんなバスケットに次々に放り込んでいく。
よく行く園芸店はとくに野菜苗のいいものが揃ってるというのが評判で、中国まで指導に出かけるという店主のアドバイスも菜園初心者にはありがたい。話を聞いてるだけでもう収穫が約束されたも同然のような錯覚にとらわれてしまうので、ついあれこれ前後の見境もなく苗を買ってしまい、買ってしまってからどこへ植えるのがいいのか頭を抱えてしまうのである。
素人の菜園というのは、言ってみれば宝くじのようなもので当たれば儲けもの、虫にやられたり病気になったりしてなかなか店で売ってるようなものというのはできないもので、収支損益など考えてたらとても成り立つものじゃない。趣味だからこそ、菜園を賃借することから始まり、やれ鍬だ、肥料だ、支柱だ、トンネル用シートだ、苗キャップだの、あげく一株何百円もするような苗を平気で買うのだ。そういう趣味のものだからこそ、苗を選んだり、栽培方法をネットで調べたりすること自体が楽しくてならないのである。

新緑の法隆寺

若かえで飛鳥古仏のほそおもて

今、法隆寺は楓もみじの若葉がまぶしい。

若葉の法隆寺

平日のせいか一般客は多くないが、そのかわり修学旅行シーズンとあって境内の何処もが大渋滞。外からしか拝めない金堂や五重塔などは内部の仏さまをじっくり見ることができないのが残念といえば残念である。
ただ、日本で最初に認定された世界遺産であり、至宝の宝庫でもあるので、若い人たちはじめ出来るだけ多くの人に見てもらうためにはやむを得ないのかもしれない。
一方、教科書でよく出てくる「百済観音像」(飛鳥時代)、「玉虫厨子」(飛鳥時代)、「夢違観音像」(白鴎時代)などの宝物類は平成10年に落成した大宝蔵院に多数安置されていて、ガラス越しとはいえ間近で見られるのはありがたい。
百済観音さんのすらりとした長身を横から眺めると全身をゆるやかにして立っておられるのがよく分かるし、この時代の特徴である細面は正面と横からみるのでは表情が微妙に異なって見えたのが印象深かった。

さらに今日のボーナスは、ちょうど今の時期だけ公開されている夢殿内の厨子に安置されている「救世観音像」(飛鳥時代)である。太子等身の秘仏とされ、開かれた厨子の中に佇んでおられるのを中学生と一緒に拝見することができた。

道草

鳧の子の即かず離れぬ間合いかな

この時期になると大和川沿いの田や畑は賑やかな声が響かれるようになる。

というのも、雛鳥に呼びかける鳧(けり)の声が甲高く大きいからである。この声を聞くと近くに雛がいるんだなということがすぐに知れる。
ただし、雛は親のすぐそばにいるわけではなく、だいたいが10メートルくらいの範囲の草むらの中などに姿を隠しながら散歩しているのだ。そしてそれがまた道草が好きと見えて、いくら親が呼びかけても至ってマイペースでなかなか親に駆け寄ろうとはしない。
天敵などが襲ってきたらどうするんだろうとハラハラしながら見ているが、親もまた至ってマイペースで時々甲高く鳴いては辛抱強く雛たちを見守っている。

ところで、名前の由来は「けりり」とか「きりり」とか鋭く甲高く鳴くことからきているが、「けりをつける」の「けり」は全く別で、完了の助動詞「けり」からきているらしい。

犯人は誰か

色づけば鳥にさらはる苺かな

プランターで育てている苺がことごとく何者かに持ち去られている。

ある程度の大きさになってほんのり色がつき始めたところで、蔓の部分から、あるいは蔕を残してスパッと断ち切るような跡を残して見事に消えてしまうのだ。
小さな鳥ならばまだ熟してもいない苺をついばむことはないだろうし、だいいち切り口が平らな食べ方はできないだろうと思う。やはり、これは嘴のもっと大きい烏の仕業ではないかと思うのだが。

今日もまた一個赤く色づき始めたので、次のターゲットになるのだろうか。

処暑の夕立

夜だけは処暑至れりの心地して

今日は二十四節気の処暑だという。

例年8月の23,4日頃だとすれば夏休みも終盤、我らが学生時代の頃もこんなに暑かったのだろうか。

奈良公園ならいざしらず、奈良盆地というのは意外に街路樹が少ないので昼間歩くというのは苦行以外の何物でもない。移動の手段としてクルマが主流なので歩く人のことなどは重視されてないのだろう。
その点、都会ではコンクリートのヒートアイランドとはいえ街路樹や樹木がよく茂った公園、河畔の柳や桜などが多くあるので散歩のコース取りも楽しいものがある。最近はちと運動不足気味だ。

今日も夕立がきた。
関東では滅多に夕立というのがないが、やはり当地は毎日のようにあって天気の変化が楽しめる。

グリーンの壁

仏塚早乙女花を供花かな

別名、というより本名「ヘクソカズラ」。

あまりに可哀相な名前だから正反対の別名をもらったのだろうけど、他にも「ヤイトバナ」という名ももつ。
実を干したものは匂いも全くなく薬草として珍重されるそうだ。

仏塚とは畑の隣にある古墳の名前だが、作業小屋の壁に白くて小さな花がびっしり咲いている。
今日はカメラを持たないで出かけたので絵はないが、日をあらためて掲載するとしよう。

めまぐるしい日

帰省子を送りし夜のしじまかな

娘が発とうという時分になって申し合わせたように大変な嵐が吹き荒れた。

雷と豪雨の中なんとか駅まで送り届けたものの、果たして電車は無事に新大阪までたどり着けるだろうか。
そんな心配をしていたら案の定、電車が止まって予定していた列車の時刻には間に合わないと言う。
Uターンピークの日だから替わりの指定席がとれるかどうかヤキモキしていたが、なんとか振り替え輸送で新大阪までたどり着いて予約ができたという連絡があって肩をなでおろしたのだった。

北の冷気が降りてきたせいか、この時間はもう涼しい風が窓から入ってくるし、虫の澄んだ声も聞こえてくる。